「Saishunkan Sol 熊本」「広島 TEAM iXA」「名古屋NTPOJA」──地域に根ざしたゲーミングチームにインタビュー

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「Saishunkan Sol 熊本」「広島 TEAM iXA」「名古屋NTPOJA」──地域に根ざしたゲーミングチームにインタビュー

普段は表に出てこない「eスポーツを盛り上げる裏方さん」にインタビューする本連載。

今回は、地域に根ざしたゲーミングチーム「Saishunkan Sol 熊本」「広島 TEAM iXA」「名古屋NTPOJA」を取材しました。

インタビューの前に、少しだけイベントの簡易レポをお届けします。

ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2025 グランドファイナル

ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2025 グランドファイナル
今回の取材の舞台は、2026年1月31日(土)にパシフィコ横浜で開催された「ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2025 グランドファイナル」。

「ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2025 グランドファイナル」は、対戦格闘ゲーム『ストリートファイター6』を用いた、国内最高峰の戦い「ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2025(SFL)」のプレイオフです。
優勝したREJECTは、2026年3月に両国国技館で開催される世界大会「ストリートファイターリーグ: ワールドチャンピオンシップ 2025」へ日本代表として出場します。
会場では、SFLに出場する10チームがブースを出展。オリジナルグッズの販売やファンとの交流が行われ、メインステージに負けない熱気を見せていました。

我々もチームブースにお邪魔して、スタッフの方々(今回は代表も登場)に「チームの特徴や強み」「仕事の内容」「やりがいを感じる瞬間」「スタッフとして活躍できる人物像」を聞きました。

Saishunkan Sol 熊本|吉本大祐氏(eSports推進室)

──貴社のチームの特徴を教えてください。


名前に「熊本」という地名が入っている通り、地域に根ざしたチームとなれるように活動しているチームです。

再春館製薬所グループ・西川グループがこれまで育ててくださった熊本の方々に恩返しができるチームを目指しています。また、全国の皆さんへ感動をお届けできるような、選手も運営も愛されるチーム作りに取り組んでいます。

現在ストリートファイターリーグに出場している所属選手たちは熊本出身ではありません。

しかし、熊本での定期的なイベントやこれまでの活動を通じて、私たちの母体である再春館製薬所グループや、支えてくださっているスポンサー様の「誠実さ」や「地域貢献」といった理念に深く共感してくださる選手たちにご縁をいただいています。

また、熊本や九州にはストリートファイター6の若手部門、そして他タイトルの選手たちにも活動を支えてもらっています。本当に温かい選手たちに恵まれており、理念やチームの想いに共鳴する方々と一緒にチームを作れていることが非常に嬉しいです。

一方で、チームをスケールさせ、より魅力的なチームを目指すためにできることや課題はまだまだ沢山あります。そこもチーム全体で乗り越え、愛されるチームを目指していきたいです。

──普段の仕事で最もやりがいを感じる瞬間を教えてください。


やりがいを感じるのは、チームや選手が試合やイベントで活躍し、それを見たファンの方々に喜んでいただけた時です。その喜びを受けて選手たちがさらに奮起し、より良いパフォーマンスを発揮する。そんな「好循環」を目の前で実感できる瞬間に、大きな喜びを感じます。

一方で、難しい面もあります。eスポーツ業界にはスポンサーをはじめ、多くのステークホルダーが関わっています。そのため、自分たちの利益だけを追求するのではなく、常に全体のバランスを考えながら動かなければなりません。

ゲームやeスポーツへの熱意だけでなく、物事を俯瞰する視座や広い視野からの最適解を求められる場面が多いと感じています。

正直なところ、自分はまだその高みに達していなかったり、視野の狭さを痛感したりすることも少なくありません。しかし、様々な関係者と協力しながら正解を導き出そうとする姿勢、そして何よりそのための「熱量」が大切だと考えています。

──貴社のチーム運営の仕事では、どのような方が活躍できますか。


地道で泥臭い仕事も多いので、困難に直面しても諦めず、何度でも立ち直りながら目標に向かって進める方が活躍できると思います。他業種からの転職で言えば、例えば無形商材の営業経験はスポンサーセールスにも良い影響を与えてくれると考えています。

私自身、前職はバスケットボールチームで働いており、eスポーツやゲームの経験は全くありませんでした。フィジカルスポーツの分野から転職したため、最初は右も左もわからない状態でしたが、周囲の方々に支えていただきながら今に至っています。

eスポーツやゲームに関する知識や経験は必須ではありませんが、より愛されるチームを目指すために知識や経験を獲得しにいく姿勢や熱量はとても大事だと思います。

広島 TEAM iXA|板垣護氏(代表取締役社長)

──貴社のチームの特徴を教えてください。


多くのチームが東京など都市部を拠点としていますが、私たちは中国地方の広島で、完全に地域密着型の運営をしているのが特徴です。

具体的には、例えば、ストリートファイターリーグ本節のパブリックビューイングを広島で開催しています。

自チームの施設での開催というよりは、毎回各地域の異なる場所で開催しているのが特徴かもしれません。広島の居酒屋さんやスタジオや公共機関の施設など、毎回場所を変えてパブリックビューイングを開催することで、近くに住んでいる人もファンの人も来るだけで面白い環境を作っています。

このような取り組みが、地方創生や地域を盛り上げることにも繋がればと考えています。

──普段の仕事で最もやりがいを感じる瞬間を教えてください。


応援の声をいただいたり、ファンの方と出会ったりすると、モチベーションが上がります。最初の頃は全然認知されていませんでしたが、活動を続けたことで少しずつ認知されてきて、「頑張って」「応援してます」と声をかけてくださる人が増えてきて、嬉しく思っています。

一方で大変なのは、地方だとお金が集まりづらいという現実があることです。マネタイズに関しては、関東や都心部よりはやりづらいと感じています。

認知度は少しずつ増えてきていますが、まだまだ少ないと思うので、その辺の草の根活動が現状の課題です。

──貴社のチーム運営の仕事では、どのような方が活躍できますか。


「ゲームが上手い」ことに価値を感じている方や、地元で働きたいと思っている若者、地方を盛り上げていこうと思っている方などが向いています。

私たち自身、ゲームの開発をしながらチーム運営をしているため、ゲームにしっかり関わっている人が多いです。コンテンツ開発の知識やノウハウは、アパレルアイテムを作る時などにも考え方が似ている部分があり、活かせることもあります。

ただ、異業種から来られた方でも、例えば広報業務や営業活動をされていた方であれば、商材が変わるだけなのでフィットしやすいと思います。

名古屋NTPOJA|岩田滉平氏(取締役 副社長)

──貴社のチームの特徴を教えてください。


名古屋NTPOJAは、チーム名に地名を入れている通り、「地域密着」を方針としています。愛知県名古屋エリアを中心に、岐阜や三重を含めた東海地方に根ざした活動を展開しているのが特徴です。 その方針は選手構成にも表れております。リーダーのKEI.B選手は名古屋出身・在住、Seiya選手は名古屋NTPOJA主催のライセンス大会でライセンスを獲得してチームに加わりました。 レンタルで参戦してもらっている大谷選手ともっちー選手も、「名古屋生まれ名古屋育ち」という、名古屋ゆかりの選手で構成されています。 また、パートナー企業様も現在5社すべてが愛知・岐阜・三重の中核企業様で、地元企業との連携を大切にしています。

──普段の仕事で最もやりがいを感じる瞬間を教えてください。


やりがいを感じるのは、今日のようなイベントでファンの方が喜んでくださる瞬間です。私たちはエンタメ業界に所属するものとして、ファンの方の支えがあって成り立っていると思っています。 そのファンの方に還元できた時、特にチームの勝利という形でお返しできた時は非常に嬉しいです。今年、名古屋OJAはリーグ2位でプレーオフに進出できたことも、とても嬉しい出来事でした。 東京でのイベントには名古屋から遠征してくださるファンの方もいらっしゃいますし、逆に遠方から名古屋開催の試合に来てくださる方もいます。ここ数年活動を続けてきたことでお互いに顔を覚えて、「いつもありがとうございます」とコミュニケーションを取れる関係性が築けているのも嬉しいことです。

──貴社のチーム運営の仕事では、どのような方が活躍できますか。


指示を待って型にはまった仕事をこなすというよりは、どんどん新しいことにチャレンジして価値を創造していく人材が向いています。eスポーツ産業自体を大きくしていく、つまりお金を生み出していくことにチャレンジできる人材が、今後より活躍できるのではないかと考えています。 また、2026年には愛知・名古屋でアジア競技大会が開催されます。eスポーツがグローバル化していく中で、世界にも目を向けていかなければなりません。そのため、英語などの外国語が話せるというのも、各チームで求められる大きな武器だと思います。

取材・文:小川翔太、松永華佳