【インタビュー】高校生からeスポーツ活動開始~そして起業へ、トンピ?さん(福岡智洋さん)のキャリアとは
eスポーツ専門の求人メディア「eek(イーク)」では、eスポーツに関するさまざまな仕事にフォーカスした記事をお届けします。第15回目は、eスポーツキャスター・イベント運営者として活動するトンピ?さんこと福岡智洋さんです。
トンピ?さんは高校時代に『Alliance of Valiant Arms(AVA)』の大会で日本一を経験し、eスポーツイベントの主催や実況活動をスタート。その後も着実にキャリアを積み重ね、現在はキャスター業だけでなく、株式会社Focusの代表を務めるなど、多岐にわたる分野で活躍しています。
今回は「eスポーツのキャリアを目指したきっかけ」「自身の仕事内容」「どういう人がeスポーツの仕事に向いているか」を中心に伺いました。
トンピ?さんは高校時代に『Alliance of Valiant Arms(AVA)』の大会で日本一を経験し、eスポーツイベントの主催や実況活動をスタート。その後も着実にキャリアを積み重ね、現在はキャスター業だけでなく、株式会社Focusの代表を務めるなど、多岐にわたる分野で活躍しています。
今回は「eスポーツのキャリアを目指したきっかけ」「自身の仕事内容」「どういう人がeスポーツの仕事に向いているか」を中心に伺いました。
eスポーツのキャリアを目指したきっかけ
──eスポーツキャリアを目指したきっかけを教えてください。
きっかけは高校時代にeスポーツカフェで「実況をやってみないか」と声をかけてもらったことです。 最初は定点カメラを置いて、会場とネット視聴者を繋ぐ中継役として実況を始めました。それが「伝える楽しさ」を知るきっかけになり、eスポーツキャスターとしての第一歩を踏み出しました。
そもそも、私のゲーム人生の始まりは中学2年生の頃、友人から勧められたオンラインFPSゲームの『Alliance of Valiant Arms(AVA)』でした。親にゲームを買ってもらえなかったので、当時はパソコンが唯一、クオリティの高いゲームが遊べるハードだったんです。それから本格的にのめり込み、高校では友人たちとクラン(チーム)を結成。大会にも出場し、リーグ戦で日本一を経験するまでになりました。
ただ、私たちのチームはAランク入りするほどの実力はあったものの、楽しむことを重視するメンバーが多く、「自分たちで楽しめる場を作りたい」と考えるようになったんです。そこからイベントを主催したり、ネットカフェのオフラインイベントでボランティアスタッフとして運営に携わるようになりました。
こうした活動の中で実況の仕事を任せてもらえたことが、自分にとって大きな転機となり、eスポーツを「伝える側」として関わる道へとつながっていきました。
──今までのキャリアの中で苦労したことや、最も大きな壁に感じたことは何でしたか。
ボランティアスタッフからのスタートだったので、収入が得られるようになるまでかなり時間がかかりました。
eスポーツキャスターになる方の多くは、自分と同じようにネットカフェやeスポーツ施設の店員からスタートすることがほとんどです。情熱を持って「伝えたい」という気持ちがあっても、すぐに仕事に繋がることはほとんどありません。
だからこそ、コツコツと努力を続ける姿勢が大切だと考えています。僕自身も15年というキャリアを通じて、少しずつ成長してきました。
ご自身の仕事内容について
──現在の仕事内容について教えてください。
eスポーツキャスターとしての活動を軸にしながら、会社としても事業を運営しています。イベント運営やキャスター業務に加え、ゲーム業界のマーケティングも行っています。
法人化したきっかけは、大手企業から「個人単位での取引が難しいため、法人として契約してほしい」と要望を受けたことでした。そこで株式会社を設立し、現在に至ります。ただ、組織といっても実質はほぼ個人のような形で、プロジェクトごとに業務委託の方々と連携しながら仕事を進めています。
──ゲーム業界でのマーケティング業務とは、具体的にどのような内容ですか。
主にスマートフォンゲームを対象に、ユーザーの継続率を高めるための大会やイベントの企画・プランニングをしています。ゲームは、プレイヤーが継続して遊んでくれないと売上に繋がりません。そのため、1年を通じた長期的な戦略を立て、プレイヤー数を増やし、減らさない工夫が求められます。
例えば、「どうすれば既存ユーザーが飽きずに楽しんでくれるか」「新規ユーザーに興味を持ってもらえるか」を考え、大会やキャンペーンといった施策を打ち出していく形ですね。運営側の立場としても、ユーザーの満足度を高めることが重要だと感じています。
──キャスター業務とマーケティング業務、どちらもゲーム業界の成長に欠かせない仕事ですね。
そうですね。実況者として「ゲームの魅力を伝えること」と、マーケターとして「ゲームの価値を広げること」は表裏一体だと思っています。どちらもプレイヤーとゲームを繋ぐ役割だと捉えていて、そこにやりがいを感じています。
どういう方と現場で働きたいか
──今後どういった方と一緒に働きたいですか。
新しいサービスやシステムを創造できる「クリエイティブな力」を持った方ですね。 私は0から1を生み出すより、1を10にすることが得意です。そのため、アイデアやビジョンを持つ人と協力して、私のスキルを最大限に活かしながら一緒に形にしていきたいと考えています。
また、「何かを作りたい」という強い気持ちがあるけれど、技術や人手、お金といったリソースが足りなくて実現できていない人にも協力したいです。そういう方と出会えると、お互いに刺激になり、面白いものが生まれるのではないかと思っています。
──「1を10にする」ために心がけていること、またはノウハウなどはありますか。
地道に継続することですね。どんなに小さなことでも、続けることが最も重要です。
最初は小さな「種まき」から始めて、1つ成果が出たら、それを2つ、3つと少しずつ広げていく。そうやって積み重ねていくと、少しずつ周りからの「信頼」も生まれてきます。信頼は、一度に大きく手に入るものではありませんが、地道に継続する姿勢があれば、時間をかけて自然と築かれていくものです。結果として、自分の道が少しずつ拓けていくのだと思います。
eスポーツキャリアを検討している人たちに向けて
──どんな方がeスポーツに関わるキャリアに向いていると思いますか。
eスポーツキャリアに向き不向きはありません。 どんな人でも、自分に合った形で関わることができる業界です。たとえプレイヤーにならなくても、イベント運営、動画制作、スポンサー企業での支援など、関わり方は無限にあります。
例えば、営業が苦手なら裏方のエンジニアとして支える道もありますし、企業に事務職として入って、社内からeスポーツを応援する仕組みを作ることだって可能です。「やり方は一つではない」ということを知っておいてほしいですね。
その上で、「柔軟な人」 はeスポーツ業界で活躍できると思います。プレイヤーとしての活動期間は短いことが多いので、本気で取り組むことが必要です。しかし、eスポーツを通過点にして次のキャリアへ進んだり、一度離れてまた戻ってきたりする柔軟さがある人が長く関われるのではないでしょうか。
一方で、行動力がない人には厳しい業界だと感じます。eスポーツは移り変わりが非常に速く、自分から動いていかないと何も始まりません。挑戦し、試行錯誤する中で気づきを得て、それをバネに次のステップへ進む姿勢が大切ですね。
──今後のご自身の活動やビジョンについてお聞かせください。
今後も、ゲームやeスポーツの価値を伝える側でありたいと考えています。eスポーツキャスターとしての活動を続けるのかはまだわかりませんが、「伝えること」を軸に活動していくつもりです。
eスポーツ業界では、30歳を超えるとキャリアの分岐点に立つことが多いです。選手として活動できる期間も長くないので、次の世代を担う若い人たちが活躍できる環境をサポートしたいですね。また、学生時代に厳しく指導してくれた大人たちに、今度は自分が恩返しをしていけたらと思っています。
──トンピさん、ありがとうございました!
新着の記事
- 【インタビュー】高校生からeスポーツ活動開始~そして起業へ、トンピ?さん(福岡智洋さん)のキャリアとは
- 大手電力会社からゲーミングブランドの代表へ!心羅-shinra gaming-名倉諒さんのキャリアとは
- 【独占取材】地方創生×eスポーツの最先端「群馬県eスポーツ・クリエイティブ推進課」に『本当に地域がすべきこと』を聞いてきた
- 【独占取材】横須賀市をeスポーツの聖地に!「Yokosuka e-Sports Project」を成功に導いた職員たち
- いま注目のeスポーツチーム「ZETA DIVISION」の展示ブースを特別取材【東京ゲームショウ2024】
- 【インタビュー】東大卒からTwitch入社を経て、配信技研の取締役へ。中村鮎葉(アユハ)さんのキャリアとは
- eスポーツ業界の最前線!【東京ゲームショウ2024】注目の企業ブースレポート
- 【インタビュー】タレント兼女性プロゲーマー、大友美有のキャリアとは
- 【インタビュー】局アナからeスポーツキャスターへ!平岩康佑さんの挑戦と軌跡
- 進化し続ける企業 e スポーツ部!「富士通eSports部」の正体に迫る