【独占取材】eスポーツで地域をつなぐ「とちぎeスポーツ地域活性化実行委員会」に聞く『未来を紡ぐeスポーツの可能性』

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【独占取材】eスポーツで地域をつなぐ「とちぎeスポーツ地域活性化実行委員会」に聞く『未来を紡ぐeスポーツの可能性』

普段は表に出てこない「eスポーツを盛り上げる裏方さん」にインタビューする本連載。

今回は、地域交流と活性化の新たな形を模索するとちぎeスポーツ地域活性化実行委員会事務局長(栃木県生活文化スポーツ部スポーツ振興課長)の山形信之さんを取材しました。

栃木県は、交流人口の拡大による地域活性化に向けた新たな取組として、2023年にeスポーツ関連事業を本格的に開始しました。そして、「とちぎeスポーツフェスタ」の開催、高齢者や障害を持つ方を対象としたeスポーツ体験会など、栃木県独自の取組を次々と成功に導いています。

今回の取材では、取組の背景やeスポーツと地域の関わり方について詳しく伺いました。

「ゲームの力で人をつなぐ」栃木県がeスポーツに取り組む理由


──栃木県がeスポーツに本格的に取り組み始めた背景や経緯を教えてください。


栃木県がeスポーツに注力し始めたのは、2023年度からで、2022年の「全国都道府県対抗eスポーツ選手権2022 TOCHIGI」の開催がきっかけとなりました。この大会は、本県で初となる全国規模のeスポーツ大会で、「いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会」の文化プログラムの一環として開催されました。各競技の参加者をはじめ、多くの方にご来場いただくなど、イベント開催を通じて、eスポーツが老若男女を問わず、障害の有無や国籍、性別に関わらず楽しめる新しいコミュニケーションツールであることを実感しました。

こうした経験から、イベント開催を通じた若者等の交流機会の創出、高齢者や障害を持つ方の社会参加など、eスポーツを活用した地域活性化を図るため、2023年度に県及び県内のeスポーツ関連団体で構成するとちぎeスポーツ地域活性化実行委員会を設立しました。

──eスポーツのどのような点に可能性を感じていますか?


eスポーツは、世代や属性を超えて人々をつなげる力を持っています。例えば、高齢者がお孫さんと一緒にeスポーツを楽しむことで会話のきっかけが生まれたり、初対面同士がeスポーツを通じて横や縦のつながりを築いたりするなど、これまでにない形の交流が生まれています。

さらに、若者を中心に注目度が高まっている点も、eスポーツが持つ大きな可能性の一つだと感じています。こうした交流を促進することで、栃木県の地域活性化やブランド力向上にもつながると期待しています。

eスポーツが持つ「遊び」を超えた価値


── 栃木県が行っているeスポーツに関する具体的な取組について教えてください。


栃木県では、とちぎeスポーツ地域活性化実行委員会の主催により、大規模イベント「とちぎeスポーツフェスタ」の開催のほか、高齢者を対象にしたeスポーツ体験会を県内各地で開催しています。eスポーツ体験会については、昨年度5回、今年度も5回実施し、参加者からは、「孫と一緒にeスポーツを楽しめるようになった」という声や、「初めてeスポーツに触れたけど面白かった」といった感想が寄せられています。

また、今年度は、障害を持つ方を対象にしたeスポーツ体験会も企画しており、今後もより幅広い層に向けたeスポーツの魅力や可能性の普及啓発に取り組んでいく予定です。

── 取組を進める中で、課題や意見の対立はありましたか?


これまで行政がeスポーツのような分野に取り組むことはほとんどなかったため、「遊びに見えるゲームの普及啓発を行政がやるべきなのか」という疑問の声もありました。しかし、高齢者向けの体験会を通じて前向きな声が寄せられたことが、大きな追い風になっています。

また、eスポーツが単なるゲームではなく、世代を超えたコミュニケーションツールとして活用できることを少しずつ理解してもらえるようになりました。これにより、交流人口の拡大や地域ブランド力の向上といった側面での可能性を認識する人が増えてきています。

栃木の魅力を再発見!「eスポーツ×観光×食文化」


── eスポーツを通じた地域活性化の成果や手応えについて教えてください。


「とちぎeスポーツフェスタ」では、開場前から多くの人が行列を作るなど、県のイベントとしては異例の盛り上がりを見せました。今年のフェスタでは、メインとなる競技大会「VALORANTとちぎ杯」に全国25都道府県から参加者が集まりました。プレイ人口の多いタイトルである『VALORANT』を競技に採用したことや、人気のプロeスポーツチームとのエキシビジョンマッチを実施したことが成功の要因と考えています。

こうしたイベントが栃木県を知るきっかけとなり、地域への関心や訪問者数の増加の起爆剤となれば嬉しいです。

── 栃木県の地域特性をどのようにeスポーツと結びつけていますか?


栃木県は、首都圏からのアクセスの良さと自然豊かな観光地を併せ持つのが大きな特徴です。例えば、東京から宇都宮までは新幹線で約50分。「とちぎeスポーツフェスタ」の会場となった「ライトキューブ宇都宮」は駅直結で、移動の負担が少なく、遠方からの参加者にも非常に便利です。

また、栃木は食文化の魅力も豊富です。宇都宮餃子や佐野ラーメン、日光湯葉、さらには、とちぎ和牛など、県内には多彩な美味しいものが揃っています。eスポーツイベントに来られた方がこうした食文化を楽しむことで、栃木の新たな魅力を発見していただけるのではないかと考えています。

栃木県が目指すeスポーツ×地域活性化の次なるステージ


── 今後の展望や目標について教えてください。


eスポーツを通じて縦横のつながりを生み出し、人々の生活を豊かにするツールとしての役割をより強化していきたいと考えています。また、今回のイベントで得た参加者の意見や反応を参考に、次回以降の企画に反映させ、さらに多くの人々に楽しんでいただけるものにしていく予定です。

他県の成功事例や取組からも学びつつ、栃木県らしいeスポーツ活用法を確立し、地域の未来を支える一助としたいと考えています。

── 最後に、この記事を読んでいる方に伝えたいことはありますか?



eスポーツは、ゲームを楽しむだけでなく、人と人をつなげ、地域の魅力を再発見するきっかけになるものです。栃木県は、地域の多様性を生かしながら、eスポーツを通じて新しい地域活性化の形に挑戦し続けていきます。ぜひ、eスポーツをきっかけに、栃木県の魅力を体感してみてください!

──とちぎeスポーツ地域活性化実行委員会のみなさん、事務局長山形さんありがとうございました!

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