【独占取材】建設業とeスポーツを繋ぐ「e建機チャレンジ」とは?ーー「運輸デジタルビジネス協議会」とプロゲーマーのセカンドキャリア支援について考える
今回は特別企画として、プロゲーマーのセカンドキャリア支援としての斬新な取り組みを紹介します。
運輸デジタルビジネス協議会(TDBC)では、建設機械の遠隔操作大会「e建機チャレンジ2024」を実施。なんとこの大会にはSengoku GamingのPaz選手、Yuhi選手など、現役のプロゲーマーも参加したとのこと。
TDBC代表理事の小島様、東珠株式会社 執行役員の依田様(取材時:EP Rental 専務取締役)に話を伺いました。
運輸デジタルビジネス協議会(TDBC)では、建設機械の遠隔操作大会「e建機チャレンジ2024」を実施。なんとこの大会にはSengoku GamingのPaz選手、Yuhi選手など、現役のプロゲーマーも参加したとのこと。
TDBC代表理事の小島様、東珠株式会社 執行役員の依田様(取材時:EP Rental 専務取締役)に話を伺いました。
プロゲーマーのセカンドキャリアとしてe建機チャレンジを始めたきっかけ
── e建機チャレンジを始められた背景やきっかけを教えてください。
地方をはじめとして、建設業界の人手不足や高齢化が深刻な課題となっていたことが「e建機チャレンジ」を始めるきっかけでした。この状況に対して新しい解決策を模索していたところ、プロゲーマーが持つ優れた操作スキルが建設機械の遠隔操作にも応用できるのではないかという着想が生まれました。
当初、現場ではベテラン層が多くを占め、若手が少ないために世代間の断絶が生じていることが課題となっていました。ベテラン層の引退が進む一方で、新しい人材がなかなか参入しづらい状況が続いており、人材育成のための仕組み作りが必要とされていました。
その中で、ゲームを通じて培われた細かな操作技術や即時的な判断力を持つプロゲーマーが、建設業界に新たな風を吹き込む可能性に注目が集まりました。
また、この取り組みは単なる業界全体の人手不足の解消にとどまらず、プロゲーマーのセカンドキャリアを提供するという社会的意義も持っています。
TDBCでは、非就労者や異業種からの人材を取り込む可能性についても議論を重ねており、ゲームやデジタルスキルに親しみのある層が建設業界で活躍するための仕組みを整備しています。
── 「e建機チャレンジ」について詳しく教えてください。
e建機チャレンジは、建設業界の課題解決と新たな人材活用モデルの創出を目指した取り組みです。プロゲーマーが持つ卓越した操作技術を、建設機械の遠隔操作に応用することで、人手不足や高齢化といった問題に新たなアプローチを提供しています。
プロゲーマーが得意とする繊細な操作や瞬時の判断力は、建設機械の遠隔操作にも非常に適していると考えました。建設業界は、特に若い世代にとってなじみの薄い分野なので、この取り組みを通じて、若い世代やゲームを通じて業界に興味を持つ人々に、新しい可能性を提示したいと思っています。
e建機チャレンジでは、建機の操作スキルを競うというユニークな形式を採用し、建設業界の魅力を広く伝えることを目指しています。特に若い世代や、これまで建設業界に馴染みのなかった層にも興味を持ってもらえる機会になると考えています。最初の実証実験では、リモコンを用いたラジコンのような操作からスタートし、その後VRゴーグルを装着して遠隔地からの操作が可能な環境を構築しました。
建設業界の課題解決を図るだけでなく、新しい世代や多様な人材が活躍できる場を作り出す試みとして、建設業界のイメージ変革にも繋がることを期待しています。
「e建機チャレンジ」が雇用創出や人手不足解消へ与えた影響
── 取り組みを始めてからの反響について教えてください。
反響は予想以上に大きかったですね。参加してくださったプロゲーマーの方と話をして、「プロゲーマーとして今までやってきた経験が活かせた」という感想をいただいたのが印象深かったです。
実際、建設機械の遠隔操作には、熟練した技術やスキルが必要とされます。プロゲーマーの方が、ゲームを通じて培われた反射神経や空間把握能力は、遠隔操作において大いに役立つため、このような人材が加わることで、操作効率の向上や労働環境の改善が期待できます。
さらに、プロゲーマーにとっても、建設業界で活躍するという新しい選択肢が生まれることは非常に意義深いことです。自分のスキルを社会で活かせるという点で、キャリアの可能性を広げるきっかけとなるでしょう。「e建機チャレンジ」が、建設業界とゲームの世界を橋渡しする新たなモデルとして機能したら嬉しいですね。
── 建設業界とeスポーツには一見すると接点がないように思えますが、どのような点で親和性を感じられますか?
確かに一見すると遠い分野に思えますが、実は建設機械の操作とゲームのコントロールには共通点が多いんです。例えば、クレーンやショベルカーなどの重機を遠隔操作するには、緻密な手元の動きや空間認識能力が求められます。これは、プロゲーマーがゲームをプレイする際に日常的に使っているスキルそのものです。
また、eスポーツのプレイヤーが鍛えている直感的な操作や即時的な判断力は、建設現場での危機回避や迅速な対応にも役立ちます。これらの能力は、デジタル技術の導入が進む建設業界にとって、非常に価値が高いと感じています。
建設業界は長年「きつい、汚い、危険」といったイメージがつきまとっていました。しかし、e建機チャレンジを通じて、「最新技術を駆使したスマートな働き方」があることを知ってもらいたいと思っています。
建設業界の魅力について
── 若者世代に向けて、建設業界の魅力をどのように伝えていきたいと考えていますか?
私たちは、建設業界がこれからの日本社会を支える重要な産業であるという点を、より多くの若い世代に伝えていきたいです。そのために「e建機チャレンジ」のようなデジタル技術を活用した新しい働き方を提案しています。建設業界に対するハードルを下げ、興味を持ってもらえる機会を増やしたいと考えています。
また、「建設業界は肉体労働」というイメージが根強いですが、遠隔操作やIT技術の導入によって、女性や体力に自信がない方でも活躍できる場が増えています。
特に若者には、「建設業界の未来を創る」というメッセージを伝えたいです。デジタル化が進む中で、新しい技術や働き方が広がっていく業界です。未来志向の若い世代にとっては、非常に魅力的なフィールドになると思います。
運輸デジタルビジネス協議会が考える展望
── 今後の目標についてお聞かせください。
私たちの次なる目標は、建設業界のデジタル化をさらに進め、新しい人材モデルを普及させることです。これからは、プロゲーマーだけでなく、幅広い層の方々が業界に入ってこれる仕組み作りが必要です。そのためには、遠隔操作技術の進化や、業界内外の協力が欠かせません。
地方自治体と連携した取り組みの拡大も視野に入れています。例えば、地域の特色を活かしたイベントや試験導入を進め、地域創生や経済活性化にも繋げていきたいですね。
最終的には、日本全国でe建機チャレンジのような取り組みが広がることを目指しています。
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