埼玉県の“特徴”を活かした3か所同時eスポーツイベント「県民総合スポーツ大会 埼玉県実行委員会」
普段は表に出てこない「eスポーツを盛り上げる裏方さん」にインタビューする本連載。今回は、県民総合スポーツ大会埼玉県実行委員会の川脇さんに取材しました。
埼玉県では、広い県域の特性を活かし、3か所同時開催という新たな形式でeスポーツイベントを展開しています。
今回の取材では、埼玉県ならではのeスポーツへの取り組み方や、その背景について詳しく伺いました。
埼玉県では、広い県域の特性を活かし、3か所同時開催という新たな形式でeスポーツイベントを展開しています。
今回の取材では、埼玉県ならではのeスポーツへの取り組み方や、その背景について詳しく伺いました。
県が旗振り役として多様な組織をつなぐ
──埼玉県がeスポーツに取り組んだ背景やきっかけを教えてください。
埼玉県では、eスポーツには、賑わいの創出や共生社会の実現など様々な可能性があると考え、積極的に取り組みを進めています。
eスポーツは、性別や障害を問わず誰もが楽しめるため、共生社会の実現に繋がるツールとしての力を持っています。また、地域活性化にもつながるという側面から、eスポーツを盛り上げていくための「旗振り役」としての役割を担っていきたいと考えています。
eスポーツの振興は県だけで完結するものではありません。企業や市町村、様々な団体との連携によって実現しています。行政の役割は、これらの多様な組織をつなぎ、eスポーツの活用可能性を広く示していくことだと考えています。
前代未聞?埼玉3拠点でeスポーツイベントを同時開催!
──「SAITAMA e-sportsリンクフェス-2025 Spring- は、所沢・春日部・熊谷の3か所で同時開催という珍しい形式でしたが、その狙いは何だったのでしょうか。
より多くの県民の皆様に、自分の住まいに近い会場を選んで参加していただけるようにするためです。埼玉県は県域が広いため、1か所だけで開催しても全県から参加者が集まるのは難しいと考えました。
各会場では地域ごとにコンテンツに特長があります。所沢会場では障害者も操作しやすいコントローラーを用意した「体験型コンテンツ」、春日部会場ではファミリー・高齢者向けの「太鼓の達人プログラム」、熊谷会場では「マインクラフトで学ぶプログラミング親子体験会」を実施するなど様々なコンテンツを用意しました。
所沢駅直結のTOKOROZAWA e-CUBE
週末とあって多くの買い物客で溢れた
所沢会場は駅に近く、アクセスが良い大型ショッピングモールの中ということが会場の大きな魅力でした。おかげさまで、eスポーツイベントのために来場された方だけでなく、買い物などで訪れた方々にもeスポーツに触れていただく機会を創出できました。実際に、通りがかりに興味を持ち「体験会の受付はどこですか?」「どうやったら参加できますか?」と尋ねてくださる方も多く、立地を活かした集客ができたと考えています。
バーチャルサイクリング
に夢中になるお子さん
現在の埼玉県のeスポーツの課題の一つが「eスポーツ自体の認知が十分でない」という点です。一般的な認知度はまだ低く、特に中高年層や地方部では「eスポーツ」という言葉自体が浸透していないケースも少なくありません。そのため、今回のような商業施設での開催は、eスポーツに触れる機会が少なかった層へのアプローチとして効果的だったと考えています。
『オーバーウォッチ2』『FORTNITE』『eFootball』採用タイトルの狙い
──今回のイベントでは吉本の芸人さんがMCを務めていたことが印象的でしたが、この企画はどのように生まれたのでしょうか。
事業者さんからプロポーザル形式で企画提案をいただいたところ、吉本興業さんが受託者となりました。その中で、受託者の強みを生かした企画となったと思っています。
──また、今回は『オーバーウォッチ2』、『FORTNITE』、『eFootball』といったゲームタイトルが選定されていましたが、こちらはどのように決定されたのでしょうか。
基本的に大きな大会で使われている著名なタイトルや、高齢者でも親しみやすいものなど、特定の層だけでなく、子どもから高齢者まで幅広い世代が楽しめるよう、バラエティに富んだタイトルを揃えました。
例えば、『FORTNITE』は幅広い世代に親しまれているタイトルです。また、eスポーツらしさを感じられる『オーバーウォッチ2』など、異なる特性を持つタイトルを組み合わせることで、多様なニーズに応えられるようにしました。初めてeスポーツに触れる方々にも間口を広げられたのではないかと感じています。
『FORTNITE』オリジナルフィールドとして
川越のレトロな町並みを再現!
eスポーツの可能性をさらに広げ、多様性ある共生社会の実現へ
──今後の展望や目標について教えてください。
今後もeスポーツの魅力を多くの県民に知っていただくため、eスポーツを体感できる機会を提供していきたいと考えています。ぜひ多くの方に足を運んでみていただければと思います。
──県民総合スポーツ大会埼玉県実行委員会さん、ありがとうございました!
取材・文:小川翔太、松永華佳
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